「………」
千景はそっと私を地面に降ろした。
震える膝。
ズルりと、力が抜けた身体が地面に崩れ、その場にへたり込むように残される。
「よくここを突き止めたね?デックを尾行したか」
千景はゆっくりと私から離れた。
そして、こちらに近づくシドから隠すように、私の前に仁王立ちになる。
「嗅覚のない犬共が、揃いも揃ってZ地区を探し回ってたから。てっきり飼い主もその程度だと思ってちょっと油断しちゃったな」
シドは煙草を放って、靴裏で踏みつけた。
「殺す」
シトウの紫藤の静かな声が、地面を這う。
「やってみろよ」
地下の売人のあざ笑う声が、突き返した。
二人は同時に地面を蹴った。


