私は千景の無事を確かめようと、強張る腕をほどき、その顔を覗き込んだ。 「千景、だいじょ――」 だけど彼は、遠くに冷たい視線を伸ばして、 「………」 静かに、殺気を放っていた。 「よお」 その声と共に、煙草の匂いが風に乗って届く。 白くたなびく煙草の煙を、視線で辿った。 鼻腔を突く、よく知る匂い。 「やっぱテメェだったか」 ――シド。 彼は煙草を吸いながら、片手をポケットに突っ込み、一人佇んでいた。