……ユキがあの場所に助けに入ったあと。
どうやって、ここへ戻ってくることが出来たのか。
きっと私が傷ついていない分、ユキが傷ついてしまったのだと思う。
「なに?かぁこ」
「ユキさんは……痛くないですか」
ユキの頬の傷に手を伸ばす。
「………」
けれど、ユキはやっぱり嫌がって、顔ごと逸らして私の手から逃げた。
こんな風に、何度か。
口に出したり、視線を向けたりして、ユキの顔の傷を確かめようとしたけれど。
その全てははぐらかされ、頑なに拒否された。
触れられたくない、ってことだ。
私の傷や、この身体の不調の全ては、こんなにも手を尽くしてもらっているというのに。
なのに。
ユキの傷は、私に触れさせてもくれない。
「ごめんなさい」
ただ謝ることしかできない自分が、とても悔しかった。
私たちの間に沈黙が流れる。
すると静寂を割るように、インターホンが鳴り響いた。
ユキはベッド脇から立ち上がり、寝室を出て行く。


