「いただきます」と言ってから、一緒に食べ始める。
思うように動かないお箸に、イライラと千景の眉間に皺が寄った。
「千景、お箸でおかずを刺しちゃダメ」
「む」
「お箸がバッテンになってるよ」
「勝手に動くんだ」
「中指が浮いてるからだよ」
「僕コイツ嫌い。仲良くなれる気がしない」
ぶーぶーと文句を言いながら。
慣れないお箸で少しずつ、ゆっくりとご飯を食べ進めた。
「どう?卵焼き」
「美味しいよ!今まで食べた中で一番好き」
「そう」
「お味噌汁も好き」
「よかった」
「わ、わ……!」
「なに?」
千景の声に、顔を上げた。
「……見て、ママ!お箸でウインナー捕まえた!」
お箸に綺麗に挟まったウインナーに、私は目を丸くした。
「……ほんとだ」
思わず顔が綻ぶ。
「千景、お箸ちゃんと使えてるよ!」
自慢げに目を輝かせた彼に、私もどこか誇らしい気持ちになった。
……変なの。
そうやって笑って、すっかり冷えたおにぎりを口に運んだ時だった。


