目を覚ますと、私は千景の腕の中にいた。
眠ったときは、私の身体に収まるように小さくなっていたはずなのに。
今は、まるで何かから守るように私を包み込んでいる。
千景の顔を見上げれば、泣き腫らした目の下が真っ赤だ。
やがて彼の瞼がピクリと動き、声をかけた。
「おはよう」
「………」
千景はこちらを見下ろしながら、ゆっくりと瞬きをする。
「おはよ……」
小さく呟いて、安心したようにもう一度目を閉じた。
私を抱きしめる腕に、少しだけ力が込められる。
「千景、ごはん食べよ」
「うん……」
「何食べたい?」
「んー。おにぎり」
「じゃあ、お米炊いてくる」
緩んだ腕の力。
私は一人起き上がり、キッチンへ向かった。


