「……千景」
「なに……」
「帰っても、会えなくなるわけじゃない」
「………」
「いつでも会えるよ」
「……会って、くれる?」
「もちろん」
「ママがどこに行っても。きっと僕、ずっと近くにいるよ」
「うん」
「僕はただ……離れたくないんだ」
「わかった」
「………」
「………」
「今日だけ、一緒に寝てくれる?」
「……服を着てくれるなら」
千景は泣き続けた。
独り言のように「いやだなぁ」とか、「でもなぁ」とか、小さな声で言いながら。
その晩。
千景は泣き疲れて眠った。
服を着ていたので、今日くらいはと。
私にしがみついたまま眠ることを、咎めなかった。


