余所者-よそもの-【 3 】




「私は、千景にそんなことしてほしくない」

「……僕のこと、嫌い?」

「ううん」

「じゃあ、僕のこと、嫌いになる?」

「ううん」

「じゃあ、じゃあ……」

「………」

「僕がそんなことをしなくなったら、嬉しい?」

「うん」


「そうしたらママは、僕とずっと一緒にいてくれる?」


千景のその問いかけに、私は首を横に振った。


「ううん。帰る」

「だったら僕は……」

「帰りたいのは、千景が嫌だからじゃないよ」

「………」

「私には、帰る場所があるから」


千景には、何度も話をした。

帰りたいことも、帰りたい理由も。


AnBarの話を、何度も聞かせた。

ユキがいて、サンコンがいて、バンがいて。

そこに集まる、潤と、リンコがいて。


私にはとても大切な場所だと、何度も話した。


そのたびに千景は「そうなんだ」と言って、二言目にはいつも「でも、帰せない」が続く。


それが、今。

目の前の千景は肩を落として、俯いた。