余所者-よそもの-【 3 】



「ああ、ちょっとね。自業自得の怪我」

「ナイフを出したの?」

「うん。そしたら手が少し滑っちゃって。大した怪我じゃないよ、刃先がちょっと掠めただけ」


傷に目を落としながら、なんてことないって風に言う千景。

私は彼の目をまっすぐに見た。


「千景」

「なに?」

「ナイフはもう、使わないで」

「どうして?ナイフは楽なんだよ。身体使うよりもすぐに黙らせることができるから」


平然と話す千景に、私は自分の右の手のひらを見せた。


「これ、千景のナイフがつけた傷」


千景は、じっと見つめた。


「……ごめんなさい」

「謝ってほしいんじゃない」

「………」

「私が傷つくと、千景は悲しいんだよね?」

「うん。ごめんってなる」

「どんな人にもきっと、傷つくと悲しむ人はいる」

「そんなの、知らないよ」

「私もそう思ってた」


目を丸めた千景が、私と視線を合わせた。


「千景が怪我したって、悲しくなんてならないって思ってた。千景はユキさんも、リンコさんも傷つけたから。私を悲しませたから」

「僕……」

「でも、今は、」

「………」


「千景が傷つくのも、千景が誰かを傷つけるのも、悲しい」


眉をひそめて訴えれば、千景だって同じように眉を下げ、泣き出しそうな顔をする。