余所者-よそもの-【 3 】




千景はその日、夜遅くに帰ってきた。


「デック」

「あいぃ」


玄関にずっと座り続けたデックは、家に入った千景と入れ違いになって、家の外へ出た。


「ママ、起きてたんだ」


明かりの点いた部屋の奥。

リビングに座って本を読んでいた私に、声がかかる。


「千景、おかえり」


私がそう声をかければ、やっぱり千景はもじもじとして。

「………」

赤らんだ頬を隠すように顔を伏せた。


だけどすぐに隠しきれない喜びが、顔いっぱいに広がる。


「ただいま!」


そう言って、大して距離のないこちらまで駆けてきた。


手前まで近づき、明かりの下に彼が立ってから、初めて気が付く。


「……千景?怪我してる」


千景の腕に、ナイフ傷があった。

深くはなさそうだけれど、まっすぐに走った線には血が浮いて、固まっていた。