余所者-よそもの-【 3 】



たしかに、あの日のことを思い出すのは、少し億劫だった。


あの変な匂いの充満していた場所。

まともな記憶の最後は、地下の売人の泣き顔。


まるで長い夢でも見ていたみたいに、全ての記憶が曖昧で。


思い出そうとすれば、胃から何かがせり上がってくるような気持ち悪さを感じる。

出来ることなら、考えたくない。

思い出したくない。


だけど。


ユキの顔が……腫れていた。

きっと誰かに殴られた。


一方で、私の身体に新しい傷はない。


シドに殴られた顔。

地下の売人のナイフで傷ついた右手。


全部が最後の記憶のまま。