「馬鹿にしてるの?」
「いやぁ。ただ、運がなかったなぁって」
「……運?」
運って、何。
私がシトウに迷い込んでしまったこと?
そのせいで、彼がZ地区に迷い込んでしまったこと?
「あの時。地下の売人が居れば、あの男も死んでなかったのにねぇ」
考えたどれとも違うその言葉に、私は身体ごとデックの方を向いた。
「どういう意味?」
デックはスマホから目を離し、ゆっくりと私を見上げた。
「地下の売人は、人が死ぬことを嫌うから」
「………」
私は理解が出来ない、と首を傾げた。
だって、
「地下の売人は、売人でしょ?」
売人は、薬を売る人。
人を、壊す人。


