余所者-よそもの-【 3 】



「ユキさん、ひどい」


私は思わずユキと重なった手を振り払った。


「………」

振り払われた手を、ユキはしばらく宙に浮かせたままだった。

やがて、それをゆっくりと引くと、静かに俯く。


フロアに、重い沈黙が流れた。

その沈黙を破ったのは、リンコだった。


「だから言ったでしょ」

「………」

「アンタが立てた作戦の中で、『カナコを遠くへ逃がす』。それだけは絶対、上手くいかないって」


ユキは深く眉間に皺を寄せた。

千景が「ママ」と口を開く。


「ママが遠くに逃げれば、ママに危害が及ぶ可能性を限りなくゼロにできる」

「………」

「でも、ここに残ればそうはいかない。守りも固めなきゃいけない。そこに人員を割く必要も出てくるだろう」

「それは、かえってみんなの迷惑になる?」

「デメリットだけ挙げればそう」


私が残ることで。

少なからずユキの立てた作戦に穴ができる。


私が言ってることは、ワガママなのかもしれない。