「露天街は商売人から成る組織だ。金に聡い」
千景が補うように話しだす。
「これまでは、シトウに従っていれば自由に商売ができた。だからシトウには逆らわなかった」
「………」
「でも今は違う。シトウに従わなくても、僕らと商売してれば金になる」
「……だから、ユキさんや千景の方に?」
「そういうこと」
――『規律ある露天街にZ地区のストッパーの役割を持たせてる。露天街はその恩恵として自由に商売出来るってワケだ』
露天街がシトウに歯向かわないのは、商売を自由にしたいことも理由の一つだった。
その商売自体が、Z地区と露天街で完結するなら、シトウの顔色を窺う必要もなくなったってことかな。
千景はユキを親指で指しながら、続けた。
「新しく何かを作ったんじゃない。元からあった繋がりに、コイツの腐り余ってた金が上手くハマっただけ」
Z地区と露天街の勢力がこちら側に……。
そうなると、これまで複雑だった街の勢力は、とてもシンプルだ。
大きく分ければ、シトウと。それ以外。
街の勢力は、そんなふうに二つに割れ始めている。


