そこで千景の冷静な声が割り込む。
「ソイツの言う通り。紫藤のところからママを連れ出してから、今日まで。シトウに目立った動きこそない。でも、コソコソとこちらの動きを探るような尾行や監視は入っていた」
「………」
「間違いなくシトウは、ママを探してる」
私の存在はシドやシトウから忘れられたわけじゃない。
私を探している。
だから今日、私が外に出て、人の目に触れたことで。
この静かなにらみ合いが、終わるかもしれないってことだ。
だけど、そうなると。
「どうして……」
私は隣にいるユキを見た。
「どうして、私を外に出しちゃったんですか!?」
シトウの狙いをわかっていたのなら。
私をずっと隠して、閉じ込めておけばよかった。
声を荒げた私に、ユキは表情を変えない。
その代わりに、ソファの上に置いた手を、そっと上から重ねて握った。
「俺はお前を、誰にも取られないように閉じ込めておくつもりはない」
「だけどっ」
「………」
「お前がこの街で、普通に暮らせるようにしたい」
重なった手に、ぎゅっと力が込められる。
「だから、シトウを潰す」


