余所者-よそもの-【 3 】



ある時、千景がふと呟いた。


「お母さんみたい」

「お母さんじゃないよ」

「じゃあ……ママ?」

「やめてよ。意味同じだし」


それから千景は私のことを「ママ」と呼ぶようになった。


呼ばれる度に「やめて」と注意したけれど、彼は楽しそうに「ママ」と呼び続けた。

返事をしないようにしていたのに、用件を聞くためには結局振り返るしかなくて。


「ママ。ドライヤーやって」

「……『ママ』って呼ばないで。ドライヤーだって自分で出来るでしょ」

「ママにやってもらった方が髪が綺麗になる」

「千景は櫛を通さないからだよ」

「自分じゃ上手くできない」



そうやって、いつの間にか『ママ』のあだ名が定着してしまった。