やがて、車はパーキングに到着。
そこは私も良く知っている場所。
――AnBarの近所のパーキングだ。
トウジは、ユキの車の隣に駐車した。
「リンコさん。今日連れてってくれるところって……」
「アンタにとって一番の『素敵な場所』は、一つしかないでしょ」
「……うん」
私はリンコとトウジに挟まれて、パーキングからAnBarまでの道を歩く。
すると、違和感がした。
「……この通り、ずいぶん人が増えましたね」
以前よりも人通りがかなり多い。
「人っていうか……」
リンコがそう口を開いたタイミングで、通りの人間がこちらに向かって頭を下げた。
……なに?
まるで、目上の人間への挨拶だ。
「あれ。ユキちゃんの指示で動く、見張りよ」
「見張り?」
「街中、いくつも地点を決めて見張りを置いてる」
「………」
そう言えば、家を出る前。
リンコはユキに頼んでいた。
――『アタシたちの行先を伝えるから、地点の見張りを移動させて』
「どこから変なヤツが湧いてきたとしても。AnBarや、アンタに手が届く前に対処ができるように、ユキちゃんが全部計算して護衛網を敷いてる」
「ユキさんが?」
「アンタがいない間、ユキちゃん頑張ったわよ。露天街にZ地区。それから、シトウの一部の人間も巻き込んで」
通りを歩くたび、すれ違う人々がこちらに首(コウベ)を垂れる。
私が離れている間に。
――この街で、何かが大きく変わっていた。


