余所者-よそもの-【 3 】



「お風呂から上がったら、まずタオルで拭く!」

「面倒なんだもん」

「あっちこっち濡れてるの!それに、服を着て!」

「えー。こっちのほうが楽なのに」

「今まで誰かに注意されたことないの?」

「ん-、ないかな。むしろ着替える服なんてずっとなかったし」

「………」


彼には時折、影が落ちる。

だけど本人は至って普通の様子で、なんとも思っていないようだった。



気がつけば私はいろいろなことを教えていた。

だって千景は何も知らなかった。


お箸の持ち方や、最低限の食事のマナー。

「いただきます」と「ごちそうさま」。


お風呂から上がったらバスタオルで身体を拭き、服を着ること。


千景は口出しをすればああだこうだ、と言い返しはするけど。

やり方を教えれば素直に真似たし、出来ることが増えれば素直に喜んで見せた。



――その姿はまるで、子供のようだった。