――そんなことを、数日繰り返した。
慣れとは恐ろしいもので、私は彼に口出しをするようになった。
見るに見かねてしまった。
「スプーンは下から持った方がいいよ」
「これじゃ食べにくいよ」
「慣れないだけじゃない?」
「食べにくいー」
「やってみればいいのに」
「じゃあ、やってみる」
普段、会話はあまり成立しないけれど、「こうやって」と言えば、案外と言うことを聞いた。
「このおかずはお箸のほうが食べやすくない?」
「僕、お箸使わない派」
「そんな派閥ないから。使えないの?」
「スプーンとフォークがあったら困らないし」
「困らないだろうけど、食べこぼしが酷いよ」
「拭けばよくない?」
「千景、自分で拭かないじゃん」
気付けば私は……彼のことを名前で呼んでいた。


