余所者-よそもの-【 3 】



廊下を突っ切り、エレベーターに乗り込む。

「まったくもう。時間ないっていうのに、ユキちゃんったら」


ボヤくリンコの隣で、私はいつかの寝起きの強制連行を思い出していた。


今は寝起きではないし、かろうじて部屋着。

でも、スマホ以外何も持ってきてない。

リンコとの外出は、いつも急。

……連絡先を交換していることの意味。


マンションを出ると、向かいの路地に一台の白いバンが停まっていた。

リンコは私の手を握ったまま、ツカツカと車に近づく。


スライドドアを開け、後部座席の奥に私を押し込むと、リンコはその隣に座った。


「お待たせ。出して頂戴」


声をかけたリンコの視線を追って、私も前の運転席に目をやった。


「あいよ」


返事と共に、バックミラー越しにその人と目が合う。


「………」

誰だろう。

初めて見る人だ。


オールバックの黒い髪に、スマートな金縁眼鏡。

いかつい雰囲気なのに、どこか洗練された清潔感をまとった大人の男性。