余所者-よそもの-【 3 】



「もう、ただの飲み屋じゃねぇぞ。Z地区の人間が出入りしたり、露天街の人間が出入りしたり」

「………」

「小さい抗争からデッカイ抗争まで、AnBarから始まるんだ!」

「……それって」

「俺の目に狂いはなかった。やっぱユキさんはデカい男だ!マジで俺、ついてきてよかったよ!この調子ならきっとシトウを――いや、紫ど……」


「喋りすぎです」


意気揚々と語るバンの口が止まった。

ソファまで大きな一歩で詰め寄ったサンコンが、大きな手でバンの口を丸ごと塞ぎ込む。


「ユキから言いつけられていたでしょう」

「悪り……つい」


やっぱり。

ユキは私に言ってないことがある。


……ううん、違う。


きっと敢えて、言わないようにしてくれていた。

シトウが、AnBarが、今どういう状況なのか。


ユキは『大丈夫』『心配しなくていい』と表面的なことは話してくれたけれど。

それ以上のことを、私から聞いたこともなかった。


シトウのこと。

シドのこと。

考えれば、今でも胸の奥が少し苦しくなる。


「………」

たぶん、ユキはそれを知っているから。

だから今は、私には話さない。


私が元気になるまで。

外で起きていることは、全部外に置いてくれている。