――夕方。
ソファで眠った千景が、スマホのアラームに目を覚ました頃だった。
インターホンが鳴り、やってきたのは――サンコンと、バン。
「カナコさん。思ったより元気そうですね」
「よ!バカナコ!」
変わらない二人に、私の顔が綻ぶ。
挨拶もそこそこに、リビングに入った二人。
寝起きの千景はソファでぼうっとしていた。
するとサンコンが千景に声をかける。
「チカさん。お疲れ様です」
「ん」
「デックさんが下で待ってましたよ」
「あー。そうだった……」
気だるそうにソファから立ち上がった千景。
「またね、サンコン。それから……そこのもじゃもじゃ口ピアスは、なんだっけ」
「バン、な!何べん言わせんだ。ぶっ飛ばすぞ」
「うん。お前もいい加減、僕への口の利き方を覚えないと八つ裂きにするぞ」
「………」
ちらりと透ける、地下の売人としての冷たい顔。
バンはまずいって表情をして、すぐさま押し黙った。
私は目を丸めて、立ち尽くす。
千景が、みんなと馴染んでる。
私の知らない間に、千景はAnBarの日常の中にいた。


