喧嘩が収まり、やがて千景が食事を終えると。
支度を済ませたユキが、家を出ようとリビングを横切った。
「おい。西側、どうする」
ソファにごろんと横になった千景が、ふいに低い声でユキに問いかけた。
ユキはリビングの戸の前で足を止め、静かに振り返る。
「現状維持。しばらく動かすな。先に東側を片付ける」
「じゃあこっちは僕が監視しておく。今日デックからお前に連絡いくと思う」
「ああ。こちらの結果は潤ちゃんからお前に報告させるよ」
ユキが淡々と答えると、千景は「ん」と短く返し、そのままソファの上で寝返りを打った。
「………」
二人の会話を聞いて、私はとても驚いた。
会話の中身そのものは、わからない。
でも。
デックや潤まで、ごく当たり前のように会話の中に出てくる。
千景と協力していること自体は、ユキから聞いていたけれど。
……思っていたより、ずっと深く繋がってるみたいだ。


