千景と一緒にリビングに入る。
ユキは先にテーブルに戻り、黙々と朝食を食べていた。
千景は遠慮なくその向かいに腰かけると、早々に喧嘩を売る。
「なんだ、お前いたんだ」
「俺の家だ」
……平常運転。
変わらない二人に、なんだか安心した。
私はキッチンで千景の食事を用意して、テーブルへと戻った。
コトリ、と目の前にお皿とお箸を揃えて置けば、千景は「げっ」と声を上げる。
お箸はまだ、克服できてないらしい。
「千景、中指忘れてる」
「中指ってこう?」
「そう。でも人差し指が違う」
「もうヤダー。普通に食べたい!」
すっかり拗ねた様子の千景。
「じゃあ箸を使うな」
ユキが、千景の手からお箸を取り上げた。
「返せよ!」
「俺の家の箸だ」
「飯食えないだろ!」
「手で食え」
お箸を巡って、ぎゃあぎゃあと喧嘩が始まった。


