私たちは一緒に映画を見ることにした。
「どんなのがいい?」
「怖くないのがいいです。あ、でも眠れそうな感じの」
「難しいね。……あ、でもこれは?」
ユキが選んだのは、静寂の海の中を延々と魚が泳ぎ続けるだけの、ドキュメンタリー映画だった。
「……これ、面白いですか?」
「わからない。でも面白かったら眠れないだろ」
「たしかに」
画面の中では、深い青の世界を鮮やかな魚の群れがゆったりと横切っていく。
耳に心地いい、静かな音楽。
微かに響く波の音。
時折入る、落ち着いたナレーション。
「………」
……眠れそう。
ユキが私を抱き上げたのは、眠りに入る寸前だった。
きっともう眠ったと思ったんだろう。
ユキの腕の中が心地よくて。
眠ったフリをしたまま、寝室まで運ばれることにした。


