余所者-よそもの-【 3 】



やがて白い器に入った温かいお粥が運ばれてきた。

私はそれを眺めながら、どうしてもユキやリンコのことが頭をよぎる。


「………」


地下の売人に見守られながら食べられたのは、半分ほど。

それ以上は胃が受け付けなかった。


食べ終えたお皿の代わりに、彼が手を差し出す。

その手のひらに乗っていたのは、いくつかの錠剤だった。


「薬飲んで」

「……いやだ」

「どうして?」

「………」

「ただのビタミン剤だよ」


地下の売人はそう言うと、自分の口に入れて呑み込んで見せた。

『安心していい』と言っているんだろうけれど。


錠剤を見ると、どうしても嫌なことを思い出す。

それに……


「あなたは地下の売人でしょ」


この人からの薬は、信用できない。


彼はあからさまに肩を落として「そっか」と呟いた。

無理に飲ませる気はないらしい。



「……僕の名前は、千景(チカゲ)」

「なに、急に」

「地下の売人じゃなくて、『千景』って呼んで」

「………」

「ホントの名前で呼んで欲しい」



私は返事をしなかった。