「カナコちゃん。ユキのことで困ってることない?」
潤が私にそう尋ねてきたのは、お惣菜を食べきった頃だった。
さっきのユキを見て、思うところがあったんだろうな。
「……困ってるっていうより。困らせてしまっています」
――『かぁこにとっても、まるでアイツは特別だ。それってなんで?』
あのときのユキは、なんだか嫉妬しているみたいだった。
けど、……そんなこと、あるのかな。
「困らせてる?」
「はい。だけどユキさん、私のやりたいようにさせてくれるんです」
「そりゃあ、まぁ。カナコちゃんだから」
「その分、ユキさんに我慢させてしまっています」
私がそう言うと、潤は「うーん」と少し考えるように天井を見上げた。
「ぶっちゃけさぁ。俺からしてみれば、今のユキの方が困ってないし、我慢だってしてないよ?」
「今のユキさん……は、どのユキさんと比べて?」
「カナコちゃんがいない時のユキ」
私が……いないとき?
「……まぁ、本人は言わないだろうけど」
潤は少し困ったように笑った。
「マンションから連れ去られてから。ユキはずっと街に出て、カナコちゃんを探してた」
「………」
「街のヤツに喧嘩吹っ掛けられながら、ねじ伏せて、手駒にしてまた探して。でも見つからなくて」
眉をひそめて、潤を見る。
潤は記憶を辿るように、ゆっくりと目を伏せた。


