「じゃあ、行ってくる」
「……お気を付けて」
ユキは背中を向けてゆっくり数歩進むと、ピタリと足を止めた。
「かぁこ」
「はい?」
「俺、夜に帰るから」
「わかりました」
返事をしたものの、ユキの足は一向に玄関へ向かおうとしない。
どうしたんだろう、と首を傾げる。
「……そのときには、普通にできると思う」
「………」
「なるべく早くに帰る」
ユキは名残惜しそうにそう言い残すと、ようやくドアを開けて家を出て行った。
「………」
ユキの去った玄関をぽかんと見つめる私。
隣に立つ潤は、ニヤニヤと意味深な笑みを浮かべていた。


