――翌朝。
マンションの来客を知らせるチャイムの音に、目が覚めた。
程なくして、ガチャリ、と扉が開く音。
そろっと顔を覗かせたのは、千景。
「あ。ママ起きた?」
「おはよう……」
「おはよう!ちょうど出かけるところだったんだ」
そう言って、こちらに歩み寄ってきた。
「何かあったら連絡して。欲しいものがあったらすぐに買ってくるし、困ったことがあったらすぐに飛んでくる」
「ありがとう」
すると寝室のドアの前。
ユキが千景を睨みつけている。
「デックが表で待ってる。さっさと出ていけ。そして二度と来るな」
「それは無理だね」
「お前がチャイムを鳴らしても鍵は開けない」
「開けてもらわなくて結構」
ニヤッと笑った千景が、ポケットから鍵を出した。
「もう合鍵は作成済み」
「ふざけるな」


