「顔色が悪いから」
「………」
「お願い」
「………」
「お願いだよ」
「………」
根負け、というものだと思う。
どれだけ無視をしても、諦めてくれなかったから。
この人のことを許したわけじゃない。
それでも、この人は本気で私を治そうとしていることだけは、伝わってきた。
「………」
そっと口を開いて、一口を含む。
味なんてわからなかったけれど。
「……食べた!」
ただ、地下の売人はパアアと顔を明るくさせて、無邪気に喜んだ。
「もう一口食べよう!」
「いい……」
私は上半身を起こして、「貸して」と手を伸ばす。
「自分で、食べられるから」
彼は口端をゆるゆると上げ、時間をかけて笑みを作る。
やっとのことで、私の手の上に冷たいゼリーを乗せた。
「もう3日目だから、そろそろ消化のいいもの食べた方がいい。嫌いなものある?」
「……ないよ」
「じゃあ、ゼリーとそこにある飲み物飲んで、待ってて」
そう言うと、隣の部屋のキッチンまで移動した。


