「獏さん」
「なんだ」
「いつ、日本に帰ってきますか?」
「テキトー」
「……また、会えますか?」
そう尋ねると、獏はふっと目を細めた。
「お前が元気だったらな」
「元気に、なります」
「俺はロリコンじゃねぇが、若い女は好きだ」
「……ん?」
「でも、死にたがりは大嫌いだ」
「………」
「お前が元気でいたら、また遊んでやる」
「……うん」
私はノートを胸の前でぎゅっと抱きしめた。
すると後ろで――ガシャン!と激しい物音が響く。
「あいつら……マジうるせぇ。さっさと引き取れ」
「………」
引き取られるのは私の方なんだけどな。
私は椅子から立ち上がり、調合室を出て。
取っ組み合う二人に向かって声をかけた。
「ユキさん、千景」
ピタリと手を止めた二人。
揃ってこちらを振り向く。
『どうした?』ってその顔に、自然と笑みがこぼれる。
「帰ろ!」
その一言に、二人の顔がぱっと明るくなった。
嬉しそうに笑いながら、駆け寄ってくる。


