「………」
何をやってるんだろう。
「お前も大変だな?」
背後から聞こえた声に、私は前へと向き直る。
獏も呆れ顔だ。
賑やかな二人の声が遠ざかる中。
獏と二人きりになった部屋で、気になっていたことを尋ねた。
「獏さん。こうなるってわかってて、ずっと私に黙らせてたんですか?」
「何にでもオチがねぇとな。面白かったろ?」
「面白いというか……」
後ろを振り返り、喧嘩をしている二人を眺める。
「騒々しいですね」
「欲しいモンのために馬鹿やれるっていいよな」
「………」
「生きてるって感じがする」
そう言った獏の顔は、満足げに笑っていた。
やがて、ふと真顔に戻ると。
「あ、そうだ」
獏は棚の引き出しから一冊の大学ノートを取り出し、私に差し出した。


