舞い上がる埃。
その向こうに、
「ママ!」
「……千景?」
チェーンソーを手にする千景は、ユキに抱きかかえられた私を見るなり、その場に固まった。
「……あ。先越されちゃったか」
ブウン……と止まった、チェーンソーの爆音。
静まり返ったラボ。
千景はユキを見つめたまま、ぽつりと口を開く。
「お前がここにいるってことは。もしかして鍵開いてた?」
「開いてたな」
ユキが淡々と答えると、千景は足元に倒れた扉を静かに見下ろした。
「………」
その目は『じゃあ壊さなくてよかったじゃん』って言ってる気がする。
「………」
「………」
そんな千景を、ユキは冷ややかな目で見ていて。
私はただおろおろとしていた。


