余所者-よそもの-【 3 】



「……え?」

ユキの腕に、抱きかかえられていた。



「俺は今から、お前を攫う」

「………」

「嫌なら言って」



ユキが、ほんの少し顔を傾ける。

近づいた額が――とん、と私の額に触れた。



「お前なら……。俺を止められると思う」



触れ合う額が、熱い。

こんなに強く抱きしめるくせに。

私のたった一言を、こんなに怖がってる。


行くな。
離れるな。
俺を選べ。

そんな、言葉にしない彼の心の声が。

重なる額から切ないくらい、伝わってくる。


「………」

私はユキの首に、腕を回した。

頬を擦りながら、ゆっくりと彼の耳元へ、唇を寄せる。


――だったら私も。

ちゃんと、伝えたい。



彼の耳に、そっと声を打ち付けた。


「ユキさん」


私を抱く腕が、ぴくん、と強張った。


「止めません」

「………」


「だから……私を、攫って」



私を。

あなたと生きる明日に、連れて行って。