獏は出入口の鍵を施錠すると、何食わぬ顔つきでこちらに戻ってきた。
「さぁて。晩飯食うか」
いや、ちょっと待って。
「……え。私、このままオランダ行っちゃいません?」
放心したまま口零した私に、獏はどうしてだか。
「あはははははは!」
と大笑いをしだした。
「獏さん!」
もう、いい加減にしてほしい。
私は怒った。
何を考えてるんだ、この人。
もしかして帰す気がないんじゃないかとさえ思えてきた。
「まぁまぁ。夜はまだ長い」
「………」
「腹いっぱい飯食って、明日に期待しようぜ」
そう言って、キッチンに消えていく。


