余所者-よそもの-【 3 】



程なくして、ユキがやってきた。


ユキはやっぱりいつも通りだった。

千景みたいに、何か言うわけでもない。


世話を焼かれ、限られた時間を一緒に過ごして。


「おい、色男。そろそろ出ていけ」

「………」


訪れた、帰りの時間。

ユキはずっと閉ざしていた口を、ようやく開いた。


「かぁこ。一緒に帰ろう」

「………」


ユキの後ろに立つ獏を、ちらりと見る。

獏は腕を組んだまま、何も言わない。

……まだ、ってことだ。


「かぁこ」


ユキに視線を戻すと。


「………」

彼は苦しそうに眉を寄せて、私を見つめていた。


「ユキさん、私……」

「……帰ろう?」


喉の奥から絞り出したようなその声に、たまらず「うん」と頷きそうになる。


でも。

「いい加減にしろ。お嬢ちゃんを困らせるな」


後ろから獏の声が飛んでくる。


「………」

ユキは俯いて私からそっと離れ、そして。


「わかった」


そう、一言だけ言うと。

静かにラボを立ち去った。