余所者-よそもの-【 3 】



「言うなって……帰るって決めたこと?」

「ああ」

「千景とユキさんに?」

「そうだ」

「ええっと。なんで?」


首を傾げる私の前で、獏はもぐもぐとメロンを食べる。


「俺は嫌いだ。粋がったヤツも、男前も」

「意味がわからないんですけど……」

「ああいうのがいるから、世の中が乱れる」

「何が乱れるんですか」

「俺みたいなヤツに女が回ってこない」


「………」

ただのやっかみじゃないか。


「……言うなって、いつまでですか?」

「俺が言っていいって言うまでだ」


そうは言っても。

獏が決めた期日であるオランダ行きの予定日まで、あと数日しかない。

いま言っても、あとで言っても、そんなに変わらない気がする。


「別にいいですけど……」


そう零した私に、獏はニヤリと笑う。


「いいか。俺が『いいって言うまで』絶対に言うなよ」

「は、はあ」

「約束だ」


まるで念押し。


「わ、わかりました……」

「まぁ、面白ぇモン見せてやるから。それは俺からお嬢ちゃんに約束してやる」


そうして私は、獏の悪だくみにまんまと乗ってしまった。