でも。
それでもずっと、消えないものがあった。
何度振り払っても。
何度、諦めようとしても。
AnBarに帰りたいっていう気持ちは、消えない。
帰るのは、とても怖い。
野間くんのことは忘れられない。
シドのことだって終わってない。
私が帰れば、また誰かが傷つくかもしれない。
それでも。
――『嬉しいって思ってもいい自分を、許せたんじゃねぇか?』
AnBarに、帰りたい。
私、帰りたいんだ――……。
「で?」
「………」
「お前、いつメロン切るんだよ」
「……あ」
「お前が選んだんだ。さっさと食っちまおうぜ」
「……獏さん。私」
「ん?」
「オランダには、行きません」
私がそう言うと、獏は満足そうに笑った。
「おう」


