余所者-よそもの-【 3 】



「俺はずっとそれを傍で看てる。いいとこ地獄だ」

「……どうして、そんなこと」

「Z地区だっけか。てめぇのテリトリーの人間が身体入れるモンを、自分の身体で確かめるために」

「そんなに辛い思いをしてまで、なんでZ地区に」


……どうして千景は逃げないの?


「俺も言ったよ」

「………」

「ドラッグなんかやめちまえって。とっとと、そんな場所から出ろって」

「千景は、なんて?」

「そこじゃねぇと、生きられねぇんだと」

「……なんで?」

「俺が知るか。ただ言ってたことは、」

「………」


「『自分より堕ちたヤツ見てれば、自分はまだマシだって思えるから』」


胸の奥がぎゅっと締め付けられて、私は視線を落とした。


「馬鹿だなって思うか?」

「……思いません」

「そうか。俺は馬鹿なヤツだと思うけどな」


――パチ、とケトルがお湯を沸かした合図をした。

獏はコポコポとカップにお湯を注ぐ。