余所者-よそもの-【 3 】



メロンに刃を入れる。

隣でカップにコーヒーを用意する獏に、私は尋ねた。


「ずっと気になってたんですけど」

「なんだ」

「後ろの。あの扉」

「………」

「あれ、何の部屋ですか?」


キッチンの後ろには、頑丈そうな鉄扉がある。

その鉄扉には鉄格子が備えつけられていて、まるで――……


「牢屋みてぇだろ」

「……はい」


獏は何をしている人なのか、よくわからない。

薬をつくる人間、と言っているのに、医者っぽいし、カウンセラーっぽいし。

横暴だし、……優しいし。


そんな獏と、何日も一緒にいて。

悪い人ではないことは、もう十分に分かっている。


けれど。

ラボの中であの部屋だけがとても異質で、不気味だった。


「あの部屋は――チカの監禁部屋」

「……千景の?」


思わず、包丁を握る手元から視線を外し、獏を見た。


「アイツは、自分で自分の身体に毒を入れる。積もり積もって毒抜きするときに、自分からあそこに入る」

「自分からですか?」

「暴れるからな。閉じ込めとかねぇと、また毒を欲しがる」


……毒は、きっとドラッグのことだ。

デックが言ってた。

――『何せ、ドラッグを憎みながら、ドラッグと向き合い続けてるんだから』