――その晩。
今日も薬なしで私は眠る。
だけど、どうも寝付けない。
眠ろうと思って目を閉じるほど、眠れない気がした。
ふと。
ユキの置いて帰った、フルーツが山盛りに入った段ボールに目を落とす。
「――獏さん」
「なんだよ。子守歌でも歌えってか」
「いえ。……一緒に、夜食なんてどうですか」
私は、手にした大きなメロンを差し出した。
獏は一瞥すると、作業を中断する。
「俺もコーヒー入れよ」
そう言って、二人でキッチンに向かった。
「獏さんって、いつ寝てるんですか?」
「テキトー」
「私、獏さんが眠ってるところを見たことがないです。夜中でも朝でも、いつも起きてますよね」
「そりゃ、お前が起きてくるタイミングを外して寝てるからだ」
「………」
……ん?
「なんで私がいつ起きるかわかるんですか?」
「なんとなく。俺すげぇだろ」
「本当だとしたらすごいと言うか、怖いです」
獏は軽く笑うと、棚から包丁を取り出した。
「切るか?」
「いえ、私が切ります」


