余所者-よそもの-【 3 】



「食べて」


それなのに。

ユキは平気な顔をして、また食べさせようとしてくるから。


「………」

私は、洗い終えた一粒のイチゴを手にとって。


「じゃあ……ユキさんも」


そっと、ユキの唇の前まで運んだ。


「………」


だけど。

ユキが、動かない。


口を開けるでもなく、猫目の綺麗な瞳をただ大きく見開いたまま。

時が止まったように固まっている。


「……もしかして、イチゴ嫌いでしたか?」


すると、ユキの持っていた真っ赤なイチゴが、ころん……と手からこぼれ落ちた。


「ユキさん?」

床に落ちてしまった実を目で追うと、掠れた声が耳に触れる。


「……たべる」

視線を元に戻すと、ユキは私の指先から、

「………」

そっと、イチゴを頬張った。


「美味しいですか?」


私は屈んで、落ちた実を拾いながら尋ねると。


「恥ずかしいね」


そう、微動だにしないまま、私と同じ感想を言った。