――ジャアア、と。
水の流れる音がキッチンに響く。
ラボにある個室のキッチンには、イチゴの甘い香りが充満していた。
私が自分で用意をすると言ったのに。
ユキは有無を言わさずイチゴを取り上げてしまったので、仕方なくキッチンまでついてきた。
さすがのユキでも、イチゴを洗うくらいはできると思う。
だけど。
ユキがキッチンに立つところを見たことがなかったので、なんだか心配だった。
「………」
彼の手元を覗き込む。
ユキは私が選んだイチゴを、一粒ずつ洗っていた。
……そんなに丁寧に洗わなくてもいいのに。
赤い実を大きな手のひらでころころと転がしては、水にくぐらせて。
私の選んだイチゴまで大切に扱われているみたい。


