余所者-よそもの-【 3 】




「毎日電話、したよね」

「………」

「たくさん心配してくれた」

「……ちが、」


……違う。


「とっても、嬉しかった」

「違うよ」

「うん」

「わたし……あなただと思って、話してない」

「知ってる」


私の頭の中は真っ白だった。

アオイと思って話していた無言電話がこの人だった。



それだけじゃない。


並んで置かれた、二台の電話。

私のスマホに発信して見せた、もう一台。



一昔前の、古い機種。

パスワードロックもない……やけに大きくて、重たいそれ。



「その……スマホ……」



とても見覚えがあった。


いつか、知らず知らずの内に、Z地区へ迷い込んでしまった時だ。


たくさんの男に追い詰められて、知らない事務所の二階に逃げ込んで、逃げ場がなくて。


私はこのスマホから自分のスマホに電話をかけた。

助けを呼ぶために……。


――『なんか、窓から匂いがします』

――『お香。これはお香の匂い。何番かはわからないけど、とっても似てる』

――『お前、Z地区に居るのかっ!』