余所者-よそもの-【 3 】



「……獏さん」


私はベッドを抜け出し、扉を開けた。

獏は大きな顕微鏡みたいなものを覗き込んだまま、「なんだ?」と返事をした。


「……眠れなくて」

「ああ」

「いつものお薬が欲しいです」


やっとそこで、獏が顔を上げた。

じっと私を見るなり、


「やらねぇ」


と一言、言い切った。

私は思わず、「え?」と聞き返す。


「今日は薬なしで寝ろ」


怖い夢。

悪夢を見ないようにと、これまで何度も貰っていた薬。


それがないと、

「でも……また夢を見そうで」

「そうだな」

「………」

「怖いか?」


コクン、と頷いた私。

獏はなんでか緩く笑って、ポンポン、と頭を撫でた。


「………」

「『平気』でなければ『大丈夫』でもねぇんだな」


その言葉に、顔を上げる。

獏は私から目を逸らした。