この腕の中を嫌だなんて思わない。
思うわけ、ない。
私はゆっくりと、ユキの背中に手を回した。
触れた背中がぴくり、と反応して、腕の力が強くなる。
苦しいくらいに、胸が締め付けられていく。
切なさを押し殺すように、私だってユキの身体を自分へと強く引き寄せた。
ユキの身体が、私にぴったりと重なっていく。
なのに。
もっともっとって寄せ合う膝が木の葉を擦って、ザザ、と静かな森を騒ぎ立てた。
「わたし……ユキさんにもらってばかりで、」
「………」
「何も返せてなくて。だから、」
だから――ずっと、ユキの目を見るのが怖かった。
優しくされればされるほど。
与えてもらえばもらうほど。
差し出せるものが自分には何もない気がして、心が苦しかった。


