「ユキさん、降ろしてください」
「……どうして?」
「ちょっと、歩きたいです」
「そうか。そう言えば、身体を動かせって言われてたな」
ユキはその場に屈みこんで、そっと私の膝裏を放した。
足の裏が、木の葉にふわりと沈む。
差し出されたユキの手を掴んで、立ち上がった。
「重たかったですよね」
「ううん。軽すぎるくらいだ」
「前よりは……少し痩せました」
「何か、食べたいものはないの?」
「………」
聞かれて、頭をよぎったのは、毎日の獏の『自分で選べ』の言葉。
でも、困った。
食べたいものは、毎日獏に報告しているから。
思いつくものが何も――……
「……あ」
「なに?」
「フルーツ。食べたいです」


