「………」
とん、とん、とん。
とくん、とくん、とくん。
ユキの歩調と、私の胸の鼓動。
じわじわと温まる胸。
なぜだか、みんなの笑った顔が頭に浮かんだ。
「かぁこ」
「……はい」
「俺は――俺たちは。お前が思ってるほど、弱くない」
――『ユキさんじゃ、私を守れっこありません』
「ユキさん、私……」
「あの日、お前が俺に言ったこと」
「……本当に、ごめ――」
「全部、俺たちのためだったんだろ」
思わず、目を見開いた。
「………」
「嘘ついてまで、AnBarを守ろうとしたこともわかってる」
そう言ったユキの声は、とても切なくて。
だけど……ほんの少しだけ、怒っているようにも聞こえた。
「でも、もう。お前一人で守らなくていい」
サワサワと、優しい風が木々の葉を揺らしていく。


