「あの日を思い出すね」
「リンコさんのお店の帰り道、ですよね」
私も同じことを思ってた。
酔っぱらった私は、今と同じようにユキにおんぶをしてもらった。
あの夜は……とても楽しかったな。
「……みんな。元気ですか」
ずっと尋ねたくて、尋ねられなかった。
何かあったらと思うと、とても怖かった。
だけど、ユキはあっけらかんと答えた。
「元気だよ」
私はユキの背中に、ぎゅっとしがみつく。
「……リンコさん、も?」
最後に見た、リンコの姿が頭から離れない。
千景とデックに車で連れ去られる私。
マンションの前で傷だらけになって、それでも手を伸ばしてくれていた。
「うん。なんなら一番元気」
「怪我は?治りましたか?」
「とっくの昔に」
「どこか……傷が残ったり、してませんか」
「してないよ」
ぎゅっと強張っていた指先から、力が抜けていく。


