ザ、ザ、ザ。
ユキの足が草木を踏みしめる音。
頬をなでる風は優しくて、春の陽気そのものだった。
――『外は、だんだん暖かくなってきました』
――『もうすぐ、春が来ます』
「………」
悲しい風を遮るように、ユキの肩にそっと顔を埋めた。
「どうした」
「……え?」
「………」
「………」
「まだ外は辛い?」
「いいえ……」
黙ったユキに、鼓動が耳に伝わってきた。
とくん、とくん、とくん。
ユキのゆったりとした歩調が、とん、とん、とん、と規則正しく刻まれる。
それに呼応するように、私の鼓動も静かに重なっていく。
……やっぱり、安心する。


