余所者-よそもの-【 3 】



「お前、まだ時間あんの?」

「あと1時間くらいは」

「じゃあ、ちょっと外に出してやれ。今日は天気がいい。森で散歩してこい」

「わかった」


返事をしたユキが出入口に向かおうと足を進めれば、獏の声が後ろから飛んでくる。


「お嬢ちゃん。宿題、覚えてるよな?」

「はい……」


ギクリ、とした。


忘れてなんかない。

だけど、どうしたってこれまでの時間で見つからなかった。


だってユキは、自分から甘えにいかなくたって、こんなにも私を甘やかしてくる。

……これ以上、何を甘えろっていうんだろう。


気付けば、ユキが帰るまであと一時間程しかない。


「かぁこ。背中に乗って」


ユキは私を一度腕から下ろすと、背中を向けて屈んだ。

ラボの出入口は狭いから、横抱きのままじゃ通れなかった。


私は目の前の大きな背中に、そっと手を添えた。

肩まで滑らせるように腕を回し、とん、と身体を預ける。


ユキに負ぶわれて、階段を上がっていく。

――キイ、と扉を開けば、眩しい日光が私を照り付けた。